日本臨床医学リスクマネジメント学会 Japan Society of Risk Management for Clinical Medicine

医療安全管理実務者標準テキスト について

 医療機関で医療安全管理の実務者となる多くの医療者は、最初は医療安全の専門家ではありません。病院長となった時、師長となった時、部門の責任者となった時に初めて医療安全管理を行う事となります。また、人事異動の結果、医療安全管理者としてある日突然指名を受け慣れた職場から医療安全管理室に移動することとなります。

 実務者となり医療安全管理と関わりを持ち学習を深めていくと、医療安全管理は非常に多くの面を持っていることに気が付きます。平時と有事、職位(経験年数)や職種、組織全体と個人、部門、医療法(安全、感染、医薬品、医療機器、その他等)、医療法25条3項の立ち入り検査、病院機能評の項目、災害時の危機管理、学問領域(法、経営、教育、工学、基礎医学、臨床医学、倫理)など関わる立場や状況によって様々な面が立ち現われます。私自身、医療安全を学ぼうと考えた際に、これらのことをバランス良く説明されたテキストがないことに気がつきました。

 この件を学会に申し上げたところ、臨床医学リスクマネジメント学会として医療安全管理者となる初学者も学ぶことが出来る標準テキストを作成することとなりました。そこで当学会でテキスト作成委員会を立ち上げ、多くのこの道の第一人者より執筆の協力を得て『医療安全管理実務者標準テキスト』を上梓致しました。

 本テキストの特徴の一つとして、医療安全管理に係わる医療従事者は、多くの立場から係わる可能性があることを考え巻頭にナビゲーションを付けております。また、事故を起こさない仕組み、深刻事故が起きた際の対応、災害という危機にどう立ち向かうか等広くカバーしてあります。執筆した職種としても医師、弁護士、看護師、薬剤師、放射線技師、医療事務、リハビリ関連、在宅関連、マスコミ関連、消防関連の方々にお願いしております。また、巻末に補遺として医療事故調査委員会に関し記載いたしました。

 医療安全管理実務者向けに医療安全を鳥瞰しまとめた初めての標準テキストです。このテキストが活用されることにより、更なる医療安全が進むことを願います。

 

日本臨床医学リスクマネジメント学会 テキスト作成委員会 委員長

 日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野

櫻井 淳

 

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